健康寿命を延ばす鍵:見逃してはいけない「口腔機能低下症」の真実|ちわら歯科医院|鶴岡市北茅原町の歯科・小児歯科・矯正歯科・口腔外科|専門的な治療にも対応

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健康寿命を延ばす鍵:見逃してはいけない「口腔機能低下症」の真実

健康寿命を延ばす鍵:見逃してはいけない「口腔機能低下症」の真実|ちわら歯科医院|鶴岡市北茅原町の歯科・小児歯科・矯正歯科・口腔外科|専門的な治療にも対応

2026年9月21日

健康寿命を延ばす鍵:見逃してはいけない「口腔機能低下症」の真実

こんにちは。歯科衛生士の阿部です。

本日はお口の機能についてのお話です。

最近、「飲み物でむせるようになった」「ものがかみきりにくい」「しゃべりにくくなった」などお口の変化はありますか?もしかしたらそれは「口腔機能低下症」かもしれません。

50歳以上のかたは要チェックです!

予防歯科へのパラダイムシフト:治療から守る医療へ
かつての歯科医療は「削ってなんぼ、抜いてなんぼ」という、痛みや症状が出てから対処する「治療中心型」の考え方が主流でした。しかし、その場しのぎの治療を繰り返してきた結果、数十年後に再治療が困難となり、最終的に抜歯を余儀なくされるケースが非常に多くなっています。一度削った歯は二度と元には戻りません。

現在、日本の歯科医療は「悪くなったら治す」から「悪くならないように守る」という「予防中心型」へと大きな転換期を迎えています。国もこの流れを重視しており、診療報酬の点数においても予防処置やメンテナンスへの評価を高めることで、国民の口腔衛生向上と医療費の適正化を図ろうとしています。痛い時だけ来院する時代は終わり、問題が起こる前にその芽を摘むことが、これからの歯科医療に求められるスタンダードです。

口腔機能低下症とは何か:7つの評価項目
口腔機能低下症とは、加齢や疾患によって、食べる、話すといったお口の機能が複合的に低下した状態を指します。これは突然起こるものではなく、わずかな「むせ」や「食べこぼし」、滑舌の低下といった小さなサインから始まります。

正確な診断のためには「口腔機能精密検査」が行われます。具体的には以下の7つの項目を評価します:

・口腔衛生状態不良:舌苔(舌の汚れ)の付着程度や口腔内の細菌数を確認します。
・口腔乾燥:口腔粘膜の湿潤度や唾液の量を測定します。
・咬合力低下:残存歯数や咬合圧検査によって、噛む力が維持されているかを確認します。
・舌口唇運動機能低下:オーラルディアドコキネシス(「パ」「タ」「カ」の発音)で、舌や唇の動きの速さと巧みさを評価します。
・低舌圧:舌圧測定器を用い、舌が上顎を押し上げる力を測定します。
・咀嚼機能低下:グルコセンサーなどを用い、実際に食べ物をどれだけ細かく噛み砕けるかを評価します。
・嚥下機能低下:EAT-10などの問診票やスクリーニング検査を用い、飲み込みの力を確認します。

これらの7項目のうち、3項目以上で基準値を下回った場合に「口腔機能低下症」と診断されます。2項目以下の場合は「非該当」となりますが、将来的な低下を防ぐための継続的な管理が推奨されます。
口腔機能の低下が全身に及ぼす深刻な影響
お口の健康は、単に「食事ができる」ことだけに留まらず、全身の健康と密接に関わっています。口腔機能が低下し、適切なケアが行われないまま放置されると、以下のような深刻なリスクが跳ね上がることがわかっています。

・低栄養とフレイル:しっかり噛めないことで、摂取できる食品の多様性が失われ、柔らかいものばかりを好むようになります。これにより、必要な栄養素が不足し、筋肉量が減少する「フレイル(虚弱)」の状態へと進行しやすくなります。
・認知症のリスク:噛むという刺激は脳に伝わり、活性化させる役割を持っています。歯を失い、咀嚼機能が著しく低下すると、認知機能の低下を招き、認知症のリスクが高まることが指摘されています。
・誤嚥性肺炎:飲み込む力(嚥下機能)が低下すると、食べ物や細菌が誤って気管に入り込む「誤嚥」が起こりやすくなります。口腔内の細菌が肺に入ることで発症する誤嚥性肺炎は、高齢者の主要な死因の一つとなっており、口腔衛生管理は命を守るための重要な対策です。


診断から管理・再評価までの流れ
当院では、特に50歳以上の方を対象に、定期的な口腔機能のチェックを推奨しています。基本的な流れは以下の通りです。

・検査・診断:前述した7つの精密検査を行い、現在のお口の状態を客観的な数値で可視化します。
・管理計画の立案と説明:検査結果に基づき、どの機能を重点的にトレーニングすべきか、個別の「口腔機能管理計画書」を作成します。患者様ご本人やご家族に目標を共有し、同意を得た上で管理を開始します。
・口腔機能管理(指導・訓練):歯科医師や歯科衛生士によるプロフェッショナルケアと並行して、ご自宅で行えるトレーニングの指導を行います。
・再評価(6ヶ月後):6ヶ月に一度、再び精密検査を行い、機能が維持・改善されているかを確認します。ここで2項目以下の該当に改善されれば、機能が回復(治癒)したと判断されますが、重症化予防の観点から継続的な管理を行うことも可能です。
・自宅でできるトレーニング:おいしく食べる力を守るために
口腔機能の維持・改善には、毎日の積み重ねが欠かせません。ご自宅で簡単に取り組める代表的なトレーニングをご紹介します。


1. パタカラ体操
「パ」「タ」「カ」「ラ」の各音を、一音ずつはっきりと、大きな口を動かして発音します。

「パ」:唇をしっかり閉じて発音(食べこぼし防止)
「タ」:舌先を上顎にしっかりつけて発音(押しつぶす力)
「カ」:舌の奥を上顎につけて発音(誤嚥防止)
「ラ」:舌を丸めて発音(丸めて送り込む力)
各音を5回ずつ、1日3回を目安に行いましょう。
2. あいうべ体操
「あー」「いー」「うー」「べー(舌を出す)」と、口と舌を最大限に動かします。顔の筋肉を鍛え、鼻呼吸を促進する効果もあります。テーブルで食前などに5回程度行うことから始めてみてください。
3. 舌回し運動
口を閉じた状態で、舌の先で歯の表面をなぞるように大きく回します。左右10回ずつ行うことで、舌の筋力と柔軟性を高めます。
4. 唾液腺マッサージ
耳の下や顎の下にある唾液腺をやさしくマッサージすることで、唾液の分泌を促します。お口の乾燥を防ぎ、自浄作用を高めるのに効果的です。

人生100年時代、いつまでも自分の口でおいしく食事を楽しむことは、最高の贅沢であり健康の源です。お口の些細な変化を放置せず、まずは一度、専門的な検査を受けてみませんか。

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