2026年7月20日

こんにちは。歯科衛生士の阿部です。本日はお子様のお口の機能についてのお話です。
お子さまの毎日の食事や会話の中で、「なんとなく気になること」はありませんか?
「食べるのが遅い気がする」「いつも口がぽかんと開いている」「発音が少し不明瞭かな」……。これらは、単なる「癖」や「個性」ではなく、お口の機能が正しく育っていないサインかもしれません。
最近、歯科界で注目されている**「口腔機能発達不全症(こうくうきのうはったつふぜんしょう)」**。今回は、ちわら歯科医院から、大切なお子さまの未来を守るためのお口の成長について分かりやすくお伝えします。
1. 口腔機能発達不全症とは?
「口腔機能発達不全症」とは、簡単に言うと、「食べる(咀嚼・嚥下)」「話す(構音)」といったお口の機能が、年齢相応に発達していない、あるいは正常に機能が獲得できていない状態のことを指します。
以前は、虫歯を治すことが歯科の主な役割でしたが、現在は「お口をどう使うか」という機能面でのサポートも非常に重要視されています。なぜなら、乳幼児期から学齢期にかけて適切な口腔機能を獲得することは、将来にわたってお口、そして全身の健康を維持するための土台になるからです。
対象となるお子さま
この診断は、18歳未満のお子さまが対象となります。特に、明らかな病気や障害がないにもかかわらず、機能の獲得が遅れている場合に、私たち歯科医師や歯科衛生士が専門的に関与し、正しい成長へと導いていきます。
2. お子さまにこんな様子はありませんか?(チェックリスト)
まずは、ご家庭での様子を振り返ってみましょう。以下の項目に当てはまるものはありますか?
離乳完了前のお子さま(目安:18か月未満)
乳首をしっかり吸い込むことができない。
授乳時間が長すぎたり、短すぎたりする。
哺乳量や回数にムラがある。
離乳食がなかなか進まない、スプーンを舌で押し出してしまう。
離乳完了後のお子さま(目安:18か月以降)
食べ方: 食べるのが遅い、あるいは丸呑みしてしまう。食べこぼしが多い、噛み方がおかしい。
呼吸・癖: いつも口をぽかんと開けている(口呼吸)。指しゃぶりや爪を噛む癖が直らない。
話し方: サ行やタ行などの発音がはっきりしない、おかしい。
これらの項目のうち、2項目以上(離乳完了後は特定項目を含む)該当する場合、口腔機能発達不全症の疑いがあります。
3. なぜ「お口の機能」が大切なの?
お口の機能が未発達のまま放置されると、将来的に以下のような影響を及ぼす可能性があります。
顎顔面の成長への影響: 正しい舌の位置や口唇の閉鎖力が得られないと、顎の骨が適切に発育せず、歯並びが悪くなる(不正咬合)原因になります。
全身の健康: 口呼吸が習慣化すると、ウイルスが直接喉に入りやすくなり、風邪を引きやすくなったり、アレルギー疾患のリスクが高まったりすることがあります。
成人期以降のトラブル: 子どもの頃の機能不全を放置すると、大人になってから「口腔機能低下症(オーラルフレイル)」へ移行しやすくなり、大がかりな治療が必要になることもあります。
早期に発見し、適切なトレーニング(ハビリテーション)を行うことで、正しい成長の軌道に乗せることが可能です。
これらの検査結果に基づき、現状を数値で把握することで、お子さまに合わせた最適な管理計画を立案します。
4. お口の力を育てるトレーニング(MFT)
診断後は、歯科医院での指導に基づき、ご家庭でも楽しくトレーニング(口腔筋機能療法:MFT)に取り組んでいただきます。
・ペコぱんだトレーニング: 舌の筋力を鍛える専用の用具を使い、飲み込む力を高めます。
・ガムトレーニング: ガムを正しく噛む、あるいは舌で丸めて上あごに押し広げる練習をします。
・あいうべ体操: お口を大きく動かすことで、口周りの筋肉(口輪筋)を鍛え、口呼吸の改善を図ります。
・遊びを取り入れた練習: 吹き戻し(ピロピロ)や風船など、楽しみながら呼吸や口唇の力を鍛える工夫も効果的です。
5. 院長・スタッフからのメッセージ
お子さまの「食べる」「話す」という機能は、一生使い続ける大切な宝物です。
当院では、単に虫歯がないかを確認するだけでなく、お子さまが一生おいしく食事ができ、自信を持って笑顔で話せる未来をサポートしたいと考えています。
もし、少しでも「うちの子、大丈夫かな?」と不安に思われることがあれば、定期検診の際にお気軽にご相談ください。専門のチェックリストや検査を通じて、一緒にお子さまの健やかな成長を見守っていきましょう。
お口の成長は「ゆりかごから墓場まで」。
ちわら歯科医院は、地域のご家族のパートナーとして、丁寧で優しい診療を心がけています。
